思想・宗教について


神道
神道

1 語義
   神々の道
   神々=万物を守護する神々
   6世紀に仏教と区別するために命名
2 資料
   古事記(712年)
    稗田阿礼の知識を太安万侶が編纂
    天地創造から628年までの日本史の記述により天孫降臨を正当化
   日本書紀(720年)
    神々による国家創建、皇統確立
   延喜式(927年)
    古代祝詞を収録した上代神道の国家的儀礼
   神道五部書
    肉体の浄化→心の浄化→神との融合
    正直と祈りを強調
3 目的
   五穀豊穣、疫病除去、家内安全
4 性格
 @多神
 A人間は神聖で、人間と人間との関係が重要
 B強い共同体意識
 C自然に対する親近性
 D清浄感
 E現世中心
 F他界観念に乏しい
5 主要な年中行事
   正月、節分、雛祭り、端午の節句、月見、神嘗祭、新嘗祭、七五三

歴史

1 発生
 @農耕文化における自然の神々の崇敬
   神社:祭儀で一時的に高められた神々を恒常的に降臨させる
 A死霊に対する畏怖
   故人の恨みを解放し、慈悲深い存在へ高める
 B善悪
   善:共同体の和を促進する
   悪:和を妨げる
2 流れ
 古神道:外来思想の影響が少ない
 両部神道:仏主神従(本地垂迹) ――― 平安
 伊勢神道:神主仏従(反本地垂迹) ―― 鎌倉
 唯一神道:神・仏・儒の総合室町
 儒家神道:神儒の調和 ――――――― 江戸
 垂加神道:皇室崇拝
 復古神道:儒仏排斥・古神道復活
 教派神道:儒仏の混入 ――――――― 幕末
 神社神道:神仏分離 ―――――――― 明治
3 近代の神道
 @皇室
   =天皇家の神道
    太陽神である天照大神を国家神とし、天皇をその子孫とする
 A神社神道
   =神社を精神結合の中心に、氏子などの信仰者による組織を持つ
 B教派神道
   =19Cに形成された13派の神道教団
    個人の宗教体験をもとに庶民の間に形成された
 C民間神道
   =民間信仰の中で神道と特に関係が深いもの
  a.外来宗教の断片と習合したもの
  b.古代宗教の残留(呪術、民間療法)
  c.神道の下部構造(日待、こもり祭、浄めの習俗)

              天津神社へ

仏教
前史・背景

1 インダス文明(B.C.2500〜1000年)
 アーリア文化
  アーリア=高貴な
 @遊牧民→農耕(インダス川流域で)
 A宗教的民族
  バラモン=僧侶階級
2 ウパニシャッド(秘義)
   梵我一如
   梵=宇宙の究極原理 我=個体の究極原理

ブッダの生涯

1 出生
   北インドの小都城国カピラ
   父:シュッドダーナ(浄飯王)…釈迦族の族長
   母:マーヤー
   ゴータマ・シッダールタ
   ブッダ(Buddha)=悟りを開いた者(覚者)
2 出家
   老・病・死→この世ははかないもの
   聖者「苦しみも老いも死もない至福の境地を得るため」
3 二人の師
   アーラーダ・カーラーマラ
   「無所有処」(物にとらわれない心境)
   ウドラカ・ラーマプトラ
   「非想非々想処」(考え自体や、考えぬということにとらわれない境地)
4 苦行
   ヒンズー教
   輪廻:霊魂の転生
   業:輪廻転生を支配する法
   梵我一如=解脱:輪廻からの脱却
   6(7)年間の苦行(断穀行)→悟りを開けない
5 成道(abhisambodhi)=完全に悟ること
   無明(avidya)=我に対する無知と執着

教説

1 梵天の勧請
   思考の領域を越える縁起の法は理解しがたい
   →法を説くように梵天が説得
2 縁起(仏教教義の基調)
   四法印
 @一切皆苦=世の事象は有限であり、相対的である
 A諸行無常=花は散り、人は老い、必ず死ぬ
 B諸法無我=因縁生起により、永続すべき実体はない
 C涅槃寂静=我執を去れば、静かな境地が訪れる
  ※ @を抜かせば、三法印
3 四諦(真実)説――初転法輪
 @苦諦=存在は苦である
   四苦:生苦、老苦、病苦、死苦
   八苦:愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦
 A集苦=苦の原因に関する真理:仮の姿を現じ、ものとして集合
   苦を招来する原因は渇愛(自己中心的な愛欲)であり、渇、無明
   (真理に対する無知)から来る
 B滅諦=苦を消滅させた悟りに関する真理
   「涅槃(nirvana)」
 C道諦=悟りに到る修行方法に関する真理
4 八正道:実践徳目――実践哲学
 @正見=正しい見解(反省)     →理性の鍛錬
 A正思惟=正しい思考(使命)
 B正語=正しい言葉(発言)
 C正業=正しい行為(道徳)     →意志の鍛錬
 D正命=正しい生(秩序)
 E正精進=正しい努力(精進)
 F正念=正しい思念(懺悔)     →情緒の鍛錬
 G正定=正しい禅定(瞑想)
  ※ 正しい=自他の成仏に沿う
5 六波羅密道説
 @布施波羅密=ものと心を人に施す;内
 A持戒波羅密=心と身体を清く保つ;外
 B忍辱波羅密=効果が見えなくとも忍耐する;内
 C精進波羅密=成仏に向かい常に励む;外
 D静慮波羅密=心身を安定させる;内
 E智慧波羅密=ものを正しく見る;外
6 教団
 サンガ=和合と戒律により保たれる同信の集合
 @四種サンガ
  出家・在家の男女の修行者
   =びく、びくに、うばそく、うばい
 A五種サンガ
  二年間の見習いの女性修行者を加えたもの
   =しきしゃまな(学法女)
 B七種サンガ
  見習いの男女僧を加えたもの
  =しやみ、しやみに
7 在家の五戒
   不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒
8 女性観
   女性:罪悪視や不浄視していない
   性関係を危険視→淫欲:毒蛇
9 仏の種類
 @釈迦如来:世界を正しく導く
 A文殊菩薩:知恵を授ける
 B普賢菩薩:仏の教化を助ける
 C阿弥陀如来:死後、西方浄土に迎え入れる
 D勢至菩薩:知恵の光りで悪から離れさせる
 E観世音菩薩:慈愛で民を救済する
 F薬師如来:病や災いを取り除く
 G月光菩薩:薬師如来の補助
 H日光菩薩:薬師如来の補助
 I大日如来:万物を照らす

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